売却理由、聞かれます

不動産売買では、物件のスペックや立地などはもちろん、なぜ売却に至ったのかは注目されるポイントの一つです。売却理由がポジティブなものなら問題ないのですが、ネガティブなものなら購入を躊躇する原因にもなります。

では、不動産売却では、購入者から売却理由を聞かれたときに、どこまで事実を伝える必要があるのでしょうか?

不動産売却にはさまざまな理由がある

不動産を売る理由は売主によってネガティブなものからポジティブなものまで幅広いので、購入希望者にとって納得できると考えられるものであれば、聞かれれば素直に伝えて問題ないでしょう。

ポジティブな売却理由

売却理由がポジティブなものであれば、聞かれれば素直に伝えるほうがトラブルの原因になりにくくなります。

ポジティブな売却理由を見てみると、

  • 便利な場所に転居する
  • 結婚や出産、子どもの独立や親との同居などで家族構成が変わる
  • 物件の購入・新築
  • 親から相続したが、既に家を所有していた

などがあげられます。

ネガティブな売却理由

一方で、ネガティブな売却理由には、次のようなものが挙げられます。

  • 住宅ローンの支払いが苦しくなった
  • 家族構成に変化があった
  • ご近所トラブルに巻き込まれた

ただ、ネガティブな売却理由は見方を変えればポジティブな要素を見つけるきっかけにもなるので、上手な言い換えを探してみましょう。

売却理由には告知義務のあるものもある

過去に事件や事故があった物件のときはどうしたらよいでしょうか。結論から言うと、建物そのものの欠点や法律上の過失など、住む人が不安を感じたり不快に思ったりするような瑕疵は、宅地建物取引業法によって事前告知が義務づけられています。

事前告知が義務付けられている欠点や法律上の過失として、事件・事故が起きたことはよく知られていますが、雨漏りやシロアリによる被害など、建物の構造上の欠陥や設備の不具合なども事前告知が義務付けられています。

告知義務を怠るとトラブルの原因になる

ミスであれ意図的であれ、仮に告知義務を通知せず隠したまま売却をすると、それを理由に契約解除や損害賠償の対象になることもあります。

売却理由がネガティブなものであれば、告知義務にあてはまるかは判断がむつかしいところ。売却理由まで含めて事前に不動産会社としっかりと打ち合わせをすることが不動産売買をめぐるトラブルを未然に防ぐポイントです。

告知の方法はどうすればいい?

物件の現況は、仲介業者を通じて売却時点で購入希望者に伝えられますが、そのときに必要なのが「物件状況確認書」(告知書)と呼ばれる書類です。書類は不動産会社などの仲介業者から受け取って、売主が必要事項を記入します。

告知書の書式はさまざまですが、基本的には事件・事故の有無や設備の瑕疵、地盤状況や周辺環境などをチェックして記入するシンプルなものです。ここで告知義務のある瑕疵を記入し損ねたり隠すことは、深刻なトラブルの原因となるので、抜け・漏れがないようにしっかりと記入しましょう。

内見時に説明できる程度の用意は欠かせない

確認書に記載した内容は仲介業者を介して伝えられるため、売主が直接説明する機会はあまりありません。ただし内覧に立ち会うと質問されることはあるので、受け答えの準備はしておきましょう。

また、伝えるべきか迷うような内容なら、不動産会社に相談して最終的に判断しましょう。マイナスな内容をフォローできると、好印象を与えられます。先に述べたようにポジティブな理由であれば正直に伝えて、ネガティブな理由であれば言い換えなどでフォローするのがおすすめです。

売却理由が悪印象を与えないように注意する

不動産の売却理由が人それぞれであるように、不動産の購入理由も人それぞれ。売却理由によっては、大きなマイナス印象を与えて、購入対象から外されることがあります。

売却を考えるときには、マイナスな印象を与えないようにコントロールすることも重要です。