マンション売却にかかる税金

まとまった金額の取引であるマンション売却では、売却で発生した利益に応じて税金がかかります。各種特例などを駆使すれば、課税対象額を圧縮したり、損失を取り戻すこともできます。

今回は、マンション売却にかかる税金や各種控除、特例がどのようなものかを見てみましょう。

マンション売却にかかる税金と控除

マンション売却で売却益(譲渡所得)が発生すると、その譲渡所得に対して法律で定められた「譲渡所得課税」と呼ばれる所得税や住民税が発生します。売却したマンションが自宅であれば、各種の特例や控除が受けられます。

マンション売却での利益に使える各種控除

特別控除としてもっとも活用されるのが、譲渡所得から3000万円を控除できる「3000万円特別控除」です。また、自宅のマンションを買い替えるときに、売却価格よりも高い購入価格での買い替えなら「買い換え特例」が利用できます。買い換え特例を利用すれば、次回買い換えまで譲渡所得への課税を繰り延べることが可能です。

このほかに、自宅のマンション売却して売却損(譲渡損失)が出たときに使えるのが、譲渡損失をその他の所得と相殺して所得税を圧縮できる「譲渡損失の損益通算・繰越控除」です。譲渡損失の損益通算・繰越控除は、最長で4年間の繰り越しが認められています。

マンション売却にかかる各種税金

マンション売却では、所得税や住民税、消費税など比較的目にする機会が多い税金だけではなく、印紙税や登録免許税など、マンション売却でもなければお目にかからないような税金も発生します。マンション売却で発生する各種税金についてみてみましょう。

  • 所得税…確定申告/短期:30%・長期:15%
  • 住民税…給与天引きなら翌年6月~翌々年5月/短期:9%・長期:5%
  • 復興特別所得税…確定申告時/所得税に対して2.1%
  • 印紙税…売買契約時/売買金額によって異なる
  • 登録免許税(抵当権抹消) 引渡時/不動産1個につき1,000円
  • ・消費税…各種サービス料の支払時期/料金の10%

所得税・住民税は運用期間によって段階的に引き下げられる

売却したマンションの所有期間が10年を超えると、譲渡所得6000万円以下の部分についてさらに税率が軽減される特例が適用されます。売却時の譲渡所得にかかる税率はマンションを所有していた期間によって異なり、5年以下であれば39.63%、5年超なら20.315%、自宅のときは10年超なら譲渡所得6000万円以下の部分が14.21%と、段階的に下がります。

また、自宅のときは譲渡所得が3000万円までなら所得税がかからない特別控除などがあるので、以下で見ていきましょう。

マンション売却にかかる譲渡所得税の計算方法

給与や事業の売上などの所得に対して所得税が発生するのと同様に、マンション売却で譲渡所得(売却益)にも先にも触れたような各種税金が生じます。なお、マンションなど不動産の譲渡所得は、他の所得とは区別して所得税を課税される「分離課税」の対象であり、確定申告が必要になります。

税率は短期間で不動産を売買する投機取引の抑制を目的として所有期間によって異なり、所有期間5年よりも短期間の保有だと税率が高く、長期間の保有だと税率が低くなります。

譲渡所得(売却益)を計算する

意外と誤解されがちですが、マンション売却で発生する譲渡所得は、マンションの売却価格と同じではありません。

売却価格はいわば売上であり、そこから仕入れ値として、そのマンションを購入したときの価格や購入・売却時に発生した費用を差し引いた残額が譲渡所得として扱われます。

税制は毎年変わる。最新の税制は常に確認

マンション売却で発生する売却益(譲渡所得)には、所得税や住民税をはじめとする各種税金が課税されますが、まとまった金額の取引になるのでさまざまな税制特例の対象にも指定されています。

マンション売却にかかわる税制は大なり小なり毎年見直しがされているので、マンション売却するときには最新の税制や控除を把握して、適切な手続きができるようにしましょう。