売るべきか貸すべきか、それが問題だ

不動産の運用方法として、賃貸という選択肢も珍しくなくなりました。「貸してみるのもアリかな?」と考える人が増えています。個人の不動産投資が人気を集めていることも原因にあるようです。

不動産の運用方法を考えるときには、売却と賃貸のどちらが得かではなく、双方のメリットやデメリットも考慮したシミュレーションが大切です。

家賃収入か、まとまったお金か

賃貸を考えている人が注目するのは「賃貸に出すことで継続的な収入が得られる」という点ではないでしょうか。安定した家賃収入があれば、さまざまな用途に使えるので、生活の自由度を高めることにもつながります。

気になるのは、住宅ローンが残っている物件をそのまま賃貸に出せるのかという点です。

住宅ローンを支払っている物件を賃貸できる?

住宅ローンは、居住用という目的で借り入れをして金利が安くなっているため、物件を賃貸へ出すときには、金融機関(銀行など)に相談して改めてアパートローンや賃貸ローンを組みなおす必要がありますが、これらのローンはおしなべて住宅ローンよりも高金利に設定されています。

ただし、転勤などの理由でやむを得ず引っ越しするときには、住宅ローンの借り入れのままで自宅を賃貸に出すことが認められることもあります。ローンが残ったまま賃貸に出すときには、はじめに借り入れた金融機関に相談しましょう。

賃貸に出す3つのメリット

住宅ローンが残っている物件でも、ローンを組みなすなど一定の条件を満たせば賃貸に出せることがわかりましたが、物件を賃貸に出すとどのようなメリットがあるのでしょうか。

直接の収入増に直結する

賃貸に出している物件は、入居者がいる限り毎月の安定した家賃収入が期待できます。安定した収入は直接の収入増に直結するので、さまざまな使い道が想定できます。

資産として手元に確保できる

マイホームに一言で言い表せないくらいの愛着があり、「できるだけ手放したくない」という人は少なくありません。賃貸であれば、所有者は自分のままで資産として運用できるので、将来的将来的に売却したり、子供に譲ってあげたりすることも可能です。

必要経費として認められるものがある

物件を賃貸に出すことで発生した支出のうち、一部は必要経費として控除対象に含めることができます。

確定申告で経費を計上すれば、所得控除の対象となります。経費として認められる対象は管理費や火災保険料など細かく決められていますので、正しく申告すれば、大きな節税効果が期待できます。

物件を賃貸に出すデメリット

月々の収入や将来的な資産と考えると、貸し出すのも悪くない感じがします。実際に賃貸に出す前に、賃貸に出したときのデメリットについてもしっかり把握しておきましょう。

管理には馬鹿にならないお金がかかる

必要経費を申告すれば控除の対象となって税金が安くなるものの、一定額の固定資産税を負担し続ける必要があることをはじめ、各種税金は無視できるものであはありません。

また、借主がわざと壊した以外では、設備機器のメンテナンスやトラブル対応はすべて家主である貸主の義務です。退去後に次の借主のために、ハウスクリーニングや壁紙の張り替え、リフォームなどが必要になるのです。

借主が原因のトラブルのリスクがある

借主の掃除や手入れが行き届いていないと、室内の劣化がひどくなり、資産価値の劣化が心配されます。仮に事故物件となれば、次の借主を見つけるのは簡単ではありません。

また、近隣住民に迷惑をかけたりするケースもあるので、貸し出すときには人間性をよく見極める必要があります。

自分が住みたくなったときに困る

法的にも借りている側が守られていて「出ていきたくない」と主張されると、正当な事由がなければ対抗できません。将来的に「また住みたい」と思っても、タイミング良く空室でなければ住めないというのはデメリットです。

メリットとデメリットを理解して賃貸を考えよう

マイホームを賃貸に出すときには、メリットだけでなくデメリットをきちんと理解しておく必要があります。いずれ戻ってくる予定があるならば、賃貸も選択肢ですが、そうでなければやはり売却が第一の選択肢になります。

売るか貸すかどうかで迷ったら、「将来的に戻るか」「貸し出すときの手間や費用」などを考えての判断が求められます。