マンション売却にかかる諸費用

不動産売買には仲介手数料や税金などさまざまな費用がかかります。不動産売却に必要な費用は、一般的に売却価格の数%程度と言われています。

具体的にどんな手数料が発生して、どれだけかかるかは、実際に売買した経験がないと分かりにくい部分が少なくありません。今回は、そんな手数料についてかいつまんで見てみます。

不動産売買で必ず発生する費用と税金

不動産売買時にかかる費用には「仲介手数料」、税金には「印紙代(印紙税)」と「登録免許税」があります。この2つは不動産売買で必ず発生する必要経費です。

仲介手数料

不動産会社と媒介契約を結ぶと、不動産会社は不動産情報サイトへの情報掲載や折り込み広告の手配といった販促活動のほか、購入検討者の物件見学に立ち会うなどのサポートの提供など、さまざまな営業活動をおこないます。

この活動の報酬は、売買が成立したうえで支払われる「成功報酬」であり、その成功報酬が仲介手数料と呼ばれます。物件の売却や購入の仲介を依頼しても売買契約が成立しなければ、仲介手数料は請求されません。仲介手数料は媒介契約の内容によって変動しますが、上限金額は宅建業法で定められていて、これを超える仲介手数料は法令違反となります。

印紙代(印紙税)

売買契約時には、売主用と買主用に1通ずつ売買契約書を作成し、収入印紙を貼付します。収入印紙は2部とも同じ金額です。

収入印紙代(例えば成約金額が1000万円以上・5000万円以下のときに1万円)を売主と買主、それぞれが負担するのが一般的です。印紙税率は契約金額によって変わり、金額が大きくなるほど印紙税率は高くなる仕組みになっています。

登録免許税

不動産売却時に物件の所有者が変わる際に登記にかかる税金が登録免許税です。登録免許には、所有権の名義変更をする「所有権移転登記」と抵当権の記載を削除する「抵当権抹消登記」があります。所有権移転登記については、商慣習として買主が負担するのが常であり、抵当権抹消登記については、やはり商慣習として売主が負担することになります。

抵当権抹消登記にかかる登録免許税は「不動産の数×1,000円」を収入印紙で納付する必要があります。土地と建物は別個に数えるため、土地と建物を合わせて2,000円かかります。また、司法書士への報酬として2万円程度が相場です。

不動産売却で利益が出たときに発生する費用

不動産売却で利益が出たときには、その利益を「譲渡所得」に計上して、所得税と住民税、復興特別所得税の課税対象となります。

不動産の保有期間によって、譲渡所得は譲渡した年で所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」と、所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」に分かれます。譲渡所得にかかる税額は、譲渡価額から取得費と譲渡に関わる経費の譲渡費用を控除した「課税譲渡所得」に所定の税率を掛けて計算します。

長期・短期の2種類がある譲渡所得

長期譲渡所得では所得税15%と住民税5%の合計20%、短期譲渡所得では所得税30%と住民税9%の合計39%ですが、2037年までは復興所得税として2.1%が上乗せされます。

売買成立しなくても手数料は発生する

仲介手数料はいわゆる「成果報酬」なので、売却成立したときだけ支払いが必要です。一般的には売買契約時に仲介手数料の50%を支払い、物件の引き渡し後に残りの50%を支払うことになります。

ただし、次の2つのケースに限っては、売買が成立しなくても手数料の支払いが必要になります。

売買契約後に売り主又は買い主の事情での契約解除(手付解除)

売買契約の後、手付解除期日(通常30日間)までは、原則として理由を問わずに買い主は手付金を放棄することで、売り主は手付金を返還し、さらに手付金と同額を買い主に支払うことで、契約を解除できます。これを手付解除といい、手付解除では売買は成立していない状態でも仲介手数料を支払う必要があります。

売買契約に対してどちらかが守らず契約を解除するとき(違約解除)

事前に契約解除ができる手付解除に対して、売買代金を未払いなど契約違反(債務不履行)のときは、相手方が損害賠償の請求して、催告しても履行されないと契約を解除できるのが違約解除です。違約解除でも、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。

正しく計算して適切な手数料の支払いを意識しよう

不動産売買は経験する機会が極めて限られているので、どのような費用負担が発生するのかあまり知られていない側面はあります。

今回取り上げた費用以外にも、さまざまな費用が発生するので、その都度しっかりと確認することを心がけてください。