不動産会社と結ぶ契約「専任媒介契約」とは

専門的な知識が求められる不動産売買では、不動産会社に仲介依頼を出して売買をするのが一般的であり、このときに売却活動の条件や製薬したときの報酬などの詳細な条件を取り交わす「媒介契約」を結びます。

売買活動の内容によって媒介契約には一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約がありますが、媒介契約の主流となっているのが専任媒介契約と専属専任媒介契約です。その内容を見てみましょう。

不動産会社一社だけに依頼する「専任媒介契約」

専任媒介契約とは、不動産会社一社のみに依頼する媒介契約です。一般媒介契約のように複数の不動産会社に仲介依頼することはできませんが、自分で買い手を見つけて売買契約を締結はできます。

指定流通機構(レインズ)への登録や依頼者への状況報告も義務付けられていて、媒介契約を締結した翌日から7日以内、依頼者への販売状況の報告義務が14日に1回以上、媒介契約の有効期限は3ヶ月と定められています。

専任媒介契約の特徴とメリット

専任媒介契約のメリットは、一般媒介契約と比べると不動産会社も売却を成立させるために売却活動に積極的になるするという点が挙げられます。また、14日に1回以上の販売状況の報告義務があるため、安心して任せられるのもメリットです。

不動産会社によっては専任媒介契約を締結してもらうために、さまざまな付加サービスも提供しているので、専任媒介契約を結ぶときの比較ポイントに含めてもよいでしょう。

専任媒介契約のデメリット

専任媒介契約のデメリットとしては、不動産会社一社としか契約しないため、どれだけ営業・宣伝してくれるかがその不動産会社頼みになってしまう点、他社との競争がないため営業が活発でなくなってしまう可能性がある点があります。

専任媒介契約よりも条件が厳しい「専属専任媒介契約」

専属専任媒介契約は、基本的な内容は専任媒介契約と大きな違いはないものの、より契約内容を厳しくしたものだと言えます。指定流通機構(レインズ)への登録が義務付けられているのは同じですが、媒介契約の締結から5日以内、依頼主に対する報告義務は7日に1回以上と、専任媒介契約よりも厳しい報告義務が定められています。

専属専任媒介契約のデメリット

専属専任媒介契約のデメリットとして、自分で買い手を見つけて契約するという行為が禁止されている点があげられます。どのような規模の売買でも、必ず不動産会社を媒介業者として契約を結ぶことが求められています。

基本的には専任媒介契約がオススメ

専属専任媒介契約と専任媒介契約では大きな違いはなく、実務上の手間も考えると、専属専任媒介契約が選ばれることはあまり多くありません。手間とメリットのバランスを考えると、専任媒介契約がおすすめの媒介契約といえます。

不動産会社から見ても他の不動産会社に仲介手数料を取られる心配のない専任媒介契約を結んでもらうのが一番で、専任媒介契約の締結に特典を付けている不動産会社も少なくありません。

不動産会社も専任媒介契約をおすすめする理由

3つの媒介契約の中でも、不動産会社は、3つの媒介契約の中で専任媒介契約が好みます。専任媒介契約に特典を付けて誘導しているほどです。不動産会社はなぜここまで専任媒介契約に積極的なのでしょうか。

仲介手数料は成功報酬が基本

不動産会社が専任媒介契約を締結したい理由として、仲介手数料が成功報酬だという点が挙げられます。

不動産会社が受け取ることのできる報酬額の上限はあらかじめ定められていますが、依頼者と媒介契約を締結して販売活動をしても、最終的に売買契約が締結できないと仲介手数料を受け取れません。どれだけ積極的に販売活動をしても売買契約を他社に取られてしまうと、それまでの出費がすべて無駄になってしまうのです。その点で一社とだけ媒介契約を結ぶ専任媒介契約が好まれるのです。

両手仲介で報酬が2倍

不動産会社が受け取る仲介手数料の形は、片手仲介や両手仲介といった形があります。片手仲介とは、1つの売買契約に関して買主側と売主側それぞれに不動産会社が付く形で、不動産会社はそれぞれからしか仲介手数料を受け取れません。これに対して両手仲介は、1つの売買契約に関して買主側と売主側両方の仲介を1つの不動産会社が引き受けるというものです。

不動産会社は専任媒介契約にすることで両手仲介を実現しやすくなるだけではなく、契約を急がなくとも他社に契約を取られる心配がないので、腰を据えた売り出し戦略が立てられるのです。

媒介契約を結ぶときの注意点

ここまで媒介契約の種類と特徴についてお伝えしてきましたが、実際に媒介契約を締結するときは以下のようなことに注意する必要があります。

媒介契約の解約条件を知る

不動産会社と媒介契約を締結したものの、状況が思わしくないようであれば解約することも重要です。一般媒介契約であれば解約はいつでも可能。電話口で解約したいと伝えるだけでOKです。専任媒介契約や専属専任媒介契約も解約自体は速やかにできますが、契約期間で契約していることが多く、それ以前の解約では違約金などが発生するケースもあるので注意が必要です。

いずれの媒介契約でも、媒介契約書の中で各種費用の取り扱いについて途中解約のペナルティが書かれていれば、その費用を支払わなければならない可能性があります。解約のときは媒介契約書をよく確認するようにしましょう。

物件が売れなかったときの対策を考えておく

媒介契約を締結する段階で、物件が売れなかったときの対策は考えておく必要があります。基本的には媒介契約の締結から3ヶ月以内に売却できることを前提に、専任媒介契約から一般媒介契約への切り替えを検討しても良いでしょう。

このとき、複数の不動産会社に1件ずつ連絡を取るのは手間なので、一度で複数の不動産会社に連絡を取れる一括査定を利用すると便利です。

媒介契約の種類を知ることと使い分けが肝心

ここまで見てきたように、媒介契約には契約の形態によって無視できない違いがあり、その違いを知ることでより有利な不動産売買につながりやすくなります。適切な使い分けのためにも、媒介契約の特徴とその違い、使い分けの考えかたについて知っておきましょう。