売却を決断するということ

首都圏を中心とする住宅需要の高値安定や、空き家問題の解消を目的とする各種政策の導入により、2002年には45万件だった住宅取引が、2015年には1.3倍の59万件まで増加しています。

安定した住宅需要を背景に中古住宅の販売価格は高値水準で推移していて売り時といえますが、それでも不動産の売却を決断するのはなかなか勇気が必要です。不動産の売却を決断するポイントと、短期的な値動きの予想を見てみましょう。

不動産の売却を決断するポイント

不動産の売却を決断するときには、いくつかのチェックすべきポイントがあります。どのような点に注意するとよいのでしょうか。

不動産は売却できる状態か

不動産の売却は、「誰もが」「どんな不動産でも」売却できるわけではありません。ローンが残っていたり名義人でなければ、売却できない可能性があります。

例えば、「親の家を代わりに売却」するケースや「離婚することになり、夫名義の家を売却」するケースでも、原則として名義人の許可を得ずに、不動産の名義人でない人が不動産を売却することはできません。

不動産の売り時かどうか

不動産市場の相場は、「不動産市場の状況」と「築年数」に影響を受けるので、相場状況をみることで売り時かどうかを大まかに把握できます。不動産市場の状況は、販売時の経済や市場状況によって変化するので、売却時点での市場状況には要注目です。

2008年から2020年までの不動産価格の推移を見ると、一貫して上昇傾向にあります。2020年には新型コロナウイルス感染症による経済への影響も懸念されましたが、取引件数こそ減少傾向に転じたものの価格水準への影響は比較的軽微なものにとどまっていす。類似する立地・築年数の売却価格を調べることで、所有する不動産の売却価格の相場を掴むことができます。

東京地区のマンション価格は2013年から長期上昇傾向

不動産市場も株式市場と同様に、投資資金が流入することで値動きが大きくなる傾向があります。先ほども軽く触れましたが、2007年のリーマンショックから2020年の東京オリンピック2020まで、首都圏のマンション相場を参考に値動きを見てみましょう。

リーマンショックで底打ちしてから上昇基調が続く

2007年4月に起点を置いて100とすると、金融危機が本格化した2008年には下落に転じて同年8月には100を下回り、その後も下落傾向が続きましたが、2009年夏には底打ちして、100前後での推移となりました。

さらに2012年夏以降はいったん下落傾向に陥ったものの、2013年春以降に回復して以後は現在にいたるまで右肩上がりの状態が続き、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する2020年3月には過去最高を記録しました。コロナショックによる景気への影響により多少の下落傾向にあるものの、依然として高値水準を維持しています。

高値水準のときほど価格交渉がしやすい

不動産市況が活発で物件価格が高止まりしている状況下では、売却側が強気に出られるので価格交渉がしやすいタイミングでもあります。このタイミングで売却を成功させるには、柔軟な価格設定がポイント。

査定価格を参考に、買う側が手を出したいと思える価格をベースに、強気一辺倒ではなく、値引きにも応じるなどある程度の譲歩も積極的に取り組みましょう。